戦後、全くの廃墟と化した我が国土は、それから20余年を経た今日、もはや世界の一流工業国としての地歩を固め更には“21世紀は日本の世紀”とまでいわせるほどのバイタリティを持つ国として急激な発展を続けてまいりました。
しかしながら、この躍進過程において、かつてどこの国も経験しなかった激しいテンポで国中のエネルギーを燃焼させ、その強大な推進力をもって全力回転してきたために多くの歪を残し、一部には社会不安を引き起こしている現状でもあります。
我々の郷土である豊川地方においても東三河工業整備特別地域の内陸部における中核として東名高速道インター開通或いは三河港開発事業等に関連して、既に数多くの大資本の進出をみており、更に今後の飛躍的な工業化への指向は必然で、国、県、或いは市の当地方に対する諸計画はこの機運を一層確かなものとしております。過去20数年間における当地域の足跡は、たしかに発展の過程ではありましたが、今日を境として将来の10年或いは、20年後のそれは恐らく想像以上に激変するであろうし、又、経済規模の拡大とともに起こる都市化現象はその内部矛盾を含みながら、膨張していくことは必須でありましょう。
このようなすう勢のなかに我々がやがては考えねばならぬ問題をできるだけ早い時期に予測し、研究を重ね、こうした変化に対応しかつ順応できる体質の強化をはからねばならぬと真剣に考えるものであります。勿論、問題点は余りにも多様であり、余りにも巨大です。だからといって放置しておいてよいものでしょうか。
ここに志を同じくするものが1人でも多く「我々の郷土をより幸せに、より住みよい調和のとれた拡大発展をする地域」にするために、その英知を集めいささかでも郷土のためになることを願って、この豊川ビジョンリサーチを設立するものであります。
昭和45年1月23日